今年もUNKNOWN/ ASIAに出展しておりました。
このアートフェアに私が参加するのは、もうこれで5回目です。そう。第1回目の2015年から皆勤賞で参加をさせて頂いております。
今年は、「ペンではなく、カッターで絵を描いています。」をコンセプトにブースをつくりました。
切り絵というジャンルは、とてもキャッチーです。
まず、その制作に対する手間がひと目で伝わります。
しかしその部分に甘えていると、作家として生きて行くことに限界が来ることを、私はずっと感じていました。
切り絵作家は、続けていくにつれ皆、スキルは上がってきます。
細かい線を切ることは、それほど難しいことではありません。
正直に申しますと、技術的な部分は切り絵作家はほぼ横並びに近い状態なのです。
そこで、他の切り絵作家さん達との違いを出していくためには、やはり自分の絵を追求していかなければいけないのです。
オリジナリティとは、切った作業にはあまり出ません。
どの線をどの太さで切るか、切る部分と残す部分のバランス、作品の見せ方、などなどデザイン的な要素にそれは現れます。
今回私は、本来ワントーン(一色)の紙を、いかに立体的に見せるかを考えて絵を描きました。
奥行きや立体感や印影をカッター一本で表現することは、今まで線の切り絵を発表することが多かった私の課題でもありました。
今の自分にそれができているのかと言われると、まだまだ勉強中です。
絵を描くということは本当に難しい…ましてや切り絵用の絵です。
全部が繋がっている一枚絵であることを大前提に、不自然な線が出ないように考えて描いております。
かといって、作品の密度も疎かにしてはいけないのです。
「切って作っている。」ということは称賛されはしますが、あくまでそれはビックリ人間枠内でのことでして、作家自身はそれを、作品に対してはプラスアルファくらいに捉えておかなければならないと思っています。
絵の部分と、作業(切る)部分、両方を良いバランスで取り入れて一枚を完成させることを目指して、今後も精進をいたします。
さて、今回のUNKNOWN/ASIAなのですが、やはりとてもとても楽しい三日間でした。
普段人と話さない生き方(引きこもり)をしている私ですので、この3日はそのうっぷんを全て晴らすように喋りまくりました。
ありがたいお話しで、こういった場には慣れてきましたので、緊張はすることなく自分の伝えたいことを短い時間で喋りまくる。
上手く喋れたら嬉しくなります。
幸いたくさんの方々が私のブースの前で足を止めて下さりました。
そして嬉しいお言葉をたくさん頂きました。
こういった場所で、たくさんのお言葉を頂けると、本当に元気がでます。
評価されることに億劫になっている作家も多い中、切り絵は前向きになりやすいのかもしれません。
それは前述した通り、キャッチーだからです。
「見て欲しいところはそこでは無いんだ!」なんてカタイことは微塵も思わず、皆様の素直なご意見は本当に嬉しいです。
やはり褒められるとなんでも嬉しいのです。
頂いたお言葉を、自分の中でどう消化するのかが大切だと思います。
切ったという事実はあくまで入り口でして、そこから中まで入って貰えるような絵を描けるように、今回学んだことを活かしていきたいです。
デジタル化は今後どんどんと進んで行くでしょう。ですがやはり、手作業の価値というものは残していかなければいけないと思います。
それを芸術で、切り絵で残していきたい。
アナログの未来を担える作家になれるよう、今後も頑張ります。
私はこのUNKNOWN/ASIAが大好きです。
ここで出会った作家さん達も、皆大好きです。
ですが、同じ環境に甘えていてはいけないということも感じ、自問自答をしているところもあります。
初めて出展した時のあの気持ち…良いか悪いかあの頃のドキドキはもう薄れているように感じます。
そろそろ自分も、新しいチャレンジの場所を見つけていかなければならないのかと思います。
世界…
出たい…
ああ…出たい…。
来年のことは来年考えます。
今回もたくさんのレビュアー様、企業様、審査員様からレコメンドシールを頂きました。
そして、日本芸能文化財団の代表理事をされている、梅若基徳様よりレビュアー賞を頂きました。
やはり誰かの一等賞になれることはとても嬉しいです。本当に感謝しております。
この頂いたお気持ちに応える活動を心掛けていきたいと、身を引き締めて頑張ります。
また、たくさんの方々が受賞する中、やはり過去に出展経験がある作家様のリベンジ受賞にはとても感動いたしました。
特に大明さん、竹内みかさんが、いかに試行錯誤をして今回に臨んだかはブースや立ち姿を見れば明白でした。
人の努力が実る場所を与えてくれるのも、このUNKNOWN/ASIAの良いところです。
いやほんま感動した。みんなおめでとうございます。
この男もレビュアー賞を2つ受賞。↓
彼は浅井くん。普段から懇意にしてくれている、滋賀のアーティストです。
彼は、彼こそが、こういった場で誰かに見出されなければいけない人物なのです。
浅井くんは自分を大切にし、媚びたことはせず、毎日毎日描いて撮ってしています。
もう少し器用に生きれないものかと余計なことを彼に言ってしまうことも多いですが、こうやって報われたところを見ると、杞憂だったんだとも感じます。
普段はボケだのカスだの言い合っている仲ですが、今回ばかりはおめでとうを言いたい…。言いたくないけど…おめでとうだぜ浅井くん。
今後の浅井アートにも期待です。(長い目で見守りましょう。)
最後にもう一度言いますが、私はこのアートフェアで出会った作家さん達が大好きです。
ありがとうUNKNOWN/ASIA。
そして出展者の皆様お疲れ様でした。
主催の皆様、この様なステージをご用意して下さってありがとうございます。
まだまだまだまだまだ僕なんて世界から見ればUNKNOWNなのです。
いつかKNOWNになってやるという気持ちを忘れずに、これからも机へ向かいます。
来年の開催も楽しみです。
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